タケプロン服用の妊娠中の注意点とは

 

タケプロンだけでなく、妊娠していたり、授乳中だったりすると、服用する医薬品には気を使う女性は多いはずです。医薬品によっては妊娠・授乳中に投与するのが禁忌となっているものもあるので、当然でしょう。

 

ここでは、タケプロンの妊娠中・授乳中のリスクについて解説しますので、事前に確認しておいてください。

 

最初にチェックしたいのが、タケプロンの添付文書です。いわばタケプロンの説明書なので、見ておきましょう。

 

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与すること。

動物試験(ラット)において胎児血漿中濃度は母動物の血漿中濃度より高いことが認められている。また、ウサギ(経口30㎎/㎏/日)で胎児死亡率の増加が認められてい
る。

授乳中の婦人への投与は避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合は、授乳を避けさせること。[動物試験(ラット)で母乳中へ移行することが報告されている。]

タケプロン添付文書:http://database.japic.or.jp/pdf/newPINS/00043499.pdf

 

↑の内容をまとめると、以下のようになります。

 

妊活中・妊娠中は、タケプロンを使わないと治療が難しい病気(逆流性食道炎など)がある場合以外、むやみにタケプロンを服用しないほうがいい。

動物実験では、ママよりも胎児の方がタケプロンの血中濃度が高くなった。ウサギでは、胎児死亡率が上がった。

動物実験では母乳を通じて胎児にタケプロンの成分が移行することがわかったので、やむを得ない場合以外はタケプロンの服用は控えたほうがいい。

 

つまり、かんたんに言うと

 

「病気の治療にどうしても必要な場合以外は、妊娠中・授乳中のタケプロンの服用はやめたほうがいい」

 

ということになります。もし普段個人輸入などでタケプロンを入手して使用しているなら、妊娠中・授乳中は控えたほうが無難でしょう。

 

もっと詳しくタケプロンのリスク検討したい場合は、FDA薬剤胎児危険度分類基準を確認してみるとよいです。これはアメリカのFDA(日本だと厚生労働省に当たる)が定めた基準で、それぞれの医薬品が胎児にどんなリスクを与えるかを示しています。

 

FDA薬剤胎児危険度分類基準

カテゴリー 危険性 妊娠中・授乳中の服用
A 危険性ナシ OK
B 多分危険性ナシ 多分OK
C 危険性があるかも 場合によってはOK
D 危険性アリ やむを得ない場合以外NG
X 禁忌 絶対NG

 

FDA薬剤胎児危険度分類基準は「A~X」の5段階評価になっており、A~Bはおおむね危険性なしということになっています。タケプロンは、この評価では「B」となっています。ただ、Bの方は「動物試験では大きな問題はなかったが、人間では試験していない」と言う意味なので、あくまで「多分OK」という範囲は出ません。

 

したがって、添付文書に書いてあった内容のように「どうしても必要な場合はOK、他の医薬品で代用できる場合はタケプロンは避ける」という考え方が無難です。自己判断では誤った使い方をするかもしれないので、念のため医師のアドバイスを受けたほうがよいでしょう。

 

なお、C~Dについては妊娠中・授乳中の服用は要注意、Xについては禁忌(完全NG)となっています。例えば有名な睡眠薬のハルシオンは「X」、日本でも利用者の多い抗不安薬のデパスは「D」、抗生物質として広く使われているクラビットは「C」となっており、妊娠中・授乳中に服用できない・しないほうがいい医薬品は結構あります。タケプロンに限らず、日常生活で医薬品を利用している場合は、服用してもいいのかどうかはしっかり調べておきましょう。

 

妊娠初期のタケプロンの影響は?

 

タケプロンの妊娠中・授乳中の影響についていろいろと解説してきたので、不安になってきた女性もいるかもしれません。ただ、タケプロンの影響は実は妊娠初期~後期の時期によってもかなり変わってきます。注意すべき期間だけタケプロンの服用を控えるようにすれば、リスクはかなり減らすことができるのです。

 

基本的に、タケプロンの影響が最も出やすいのが妊娠初期です。妊娠初期はまだ赤ちゃんが小さく、人間の形ができてくる時期です。そのため、医薬成分の影響を受けやすい時期でもあります。すでに取り上げた「FDA薬剤胎児危険度分類基準」においても、基本的には妊娠初期(妊娠2~12週)の時期の催奇形性などの毒性について評価したものです。

 

なので、まず生理があった日から28日間に関してはタケプロンの影響は関係ないということが言えます。そもそも、妊娠していない可能性が高いからです。

 

なので、注意すべきなのは排卵日からということになります。慎重に行くなら排卵日から2週間くらいまではしばらくタケプロンを控え、生理があった場合は服用を再開、生理がないようなら妊娠の疑いがあるので服用を控えると言った考えでいいでしょう。これを知っておけばタケプロンの服用スケジュールを細かく決めることができます。

 

それと、タケプロンを服用している期間中に、つわりで妊娠に気が付いたという場合もあると思います。このケースでは影響のある期間にタケプロンを飲んでいた可能性が高いですが、だからといってそれだけで気落ちするようなことではありません。確かにFDAの評価では「B」となっており、「多分OK」という範囲は出ませんが、それでももともとの影響が出る確率自体が低いですし、ストレスに感じてしまうほうが赤ちゃんへの影響は大きいです。あまり気にしないようにして、どうしても不安なら医師のアドバイスを受けるくらいでよいでしょう。

 

妊娠中期~後期のタケプロンの影響

 

妊娠中期~後期については、胎児もそれなりの大きさになってきて、体もできてくるので、催奇形性などのリスクは関係ありません。なので、タケプロン服用の影響はだいぶ小さくなっている時期となります。

 

とはいえ、母体を通じてタケプロンの成分が赤ちゃんに入ってしまうことは事実なので、「できれば服用しない方がいい」というのは変わりません。ただ、ママの逆流性食道炎を治すためだとか、胃潰瘍があって体調が悪いなどの場合は、タケプロンを服用するように指示されることはあるでしょう。

 

いずれにしても、妊娠初期ほど注意する必要はなく、用法・用量を守って服用していればそれほど大きな問題はでないはずです。

 

授乳中のタケプロンの影響は?

 

タケプロンだけでなく、一般的に医薬品は母乳を通して赤ちゃんの体にも入ってしまうことになります。量自体は微量ですが、赤ちゃんは小さいのでママ本人よりも薬の影響を大きく受けることになります。なので、安易に「授乳中も服用してOK」という医薬品は少ないです。

 

タケプロンの場合、問題になるのが服用期間です。タケプロンは症状に応じて服用期間がかなり変わってくる医薬品で、2週間程度で済むこともあれば、数か月の服用が必要になるケースもあります。短い期間であれば、その授乳期間も短くなるので、それほど影響はないでしょう。しかし、数か月となると赤ちゃんへの影響が多少心配になってきます。なので、まずはどの程度服用するのかを考慮し、長期化しそうなら別の医薬品に変えてもらうなどの対処がよいでしょう。

 

また、授乳中は妊娠中に比べてずっと対処しやすい点も見逃せません。お腹の中の赤ちゃんは目に見えないので影響がわかりにくいですが、産まれた後の赤ちゃんは状態が目に見えるので、下痢をしたり元気がなくなったりした場合は「タケプロンのせいかも」という判断ができます。なので、そういった影響が見えたときに、授乳を中止したりなどの対処がしやすいのです。

 

しかも、問題があるようなら母乳をあげずにミルク育児に切り替えればいいわけですから、授乳中のタケプロン服用はあまり悩みすぎる必要はないでしょう。タケプロン服用から1~2日経てばママの血中濃度はほぼなくなるので、再び母乳育児に戻すことができます。

 

なお、ピロリ菌治療のためにタケプロンの服用が必要になった場合、通常の用量を超えた60mgの服用をする場合が多くなります。その分ママの血中濃度もかなり高くなるので、母乳はやめたほうがいいでしょう。

 

初乳は飲ませたほうがいい

 

産後2~3日の授乳は「初乳」と呼ばれており、ママの免疫を赤ちゃんにあげる重要な役割を果たしています。とくに「免疫グロブリンA」という免疫物質は初乳でしかあげられないと言われているので、この時期だけはなるべく母乳をあげるようにしましょう。初乳予定日の2日前くらいはタケプロンを控えて、初乳に備えると万全です。

 

初乳さえ与えておけば、最低限の免疫物質は赤ちゃんにあげられるので、それ以降はタケプロンを服用している間はミルク育児に切り替えてもそれほど影響はないでしょう。